――“つがい”を知らないふたりが、愛の意味を見つけるまで。
かつて世界には、アルファ・ベータ・オメガと呼ばれる三つの性が存在した。
あるとき、それぞれの性だけが生きる世界へと分かたれ、“番”という絆は、誰の記憶からも消えていった。
獣人の街・トドレーンで働く虎の獣人オズ。
疲れ果てた彼が、唯一心を取り戻せるのは、森で“獣の姿”に戻るときだけだった。
そんなある日、森で倒れていた青年・タクマを拾う。
異世界から迷い込んだ“ニンゲン”――耳も尻尾も持たない、不思議な存在。
それぞれまったく違う世界で生きてきたオズとタクマ。
――これは、世界が愛を忘れたその先で、“つがい”になったふたりの物語。