愛してはいけない。決して交わらないはずの二人だった。それでも――。
大貴族の一人息子でオメガのシェミは、オメガが不当に扱われることを憂いていた。
しかし法改正がなされ、オメガでも家督が継げるようになり、シェミは次期当主に任命された。
大学校卒業後、第六王子で十歳のラビエルの家庭教師に異例の抜擢をされる。
ラビエルは母親の死から立ち直れず、また他の王子やその取り巻きたちからのいじめを受け、心を閉ざしていた。
侮辱されても、何も言い返さない彼に「自分の価値を他人に委ねるな」と一喝。
それからラビエルは、シェミの導きで礼節や努力を知り、少しずつ変わっていく――。
互いに心を通わせながらも、身分差を前にシェミは自らの想いを秘め続けた。
だが、成人を控えたラビエルはシェミへの想いを告白する。
さらに思いもよらない宣言をし、王宮を揺るがす決意を示す。
変わりゆく時代の中で――身分も血筋も越えて、ふたりは真実の愛を結んでいくオメガバースストーリー。