道具を半分売った氷菓子屋ですが、氷の目に爪を半寸ずらしたら、向かいの氷菓子屋が旗を出す日だけは必ず同じ日を選んでくれます(雪村すばる )の注意事項

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ライトノベル
道具を半分売った氷菓子屋ですが、氷の目に爪を半寸ずらしたら、向かいの氷菓子屋が旗を出す日だけは必ず同じ日を選んでくれます
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道具を半分売った氷菓子屋ですが、氷の目に爪を半寸ずらしたら、向かいの氷菓子屋が旗を出す日だけは必ず同じ日を選んでくれます NEW

830pt/913円(税込)

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作品内容

【この作品は生成AIを使用しています】

表通りの幅は七間ある。その両側に、同じ大工が同じ年に建てた氷菓子屋が二軒、真向かいに立っている。仲は悪い。それでも旗を出す日だけは、二軒とも必ず同じ日を選ぶ。
間宮朔、二十九。十七でこの削り台の前に立って、今年で十二年になる。三年前に父が死んで、梶棒と帳面と借財を同じ日に受け取った。掛けの覚えを開いたとき、数字の桁を三度数え直した。数え直しても桁は減らなかった。父の道具は半分売った。売らなければ氷が買えなかった。
葛西湊、三十一。七間向こうの店の主人。のんびり話す男で、値と数の話になると急に隙がなくなる。ある日、客に「向かいと蜜が同じ味だ」と言われて、朔は変装して向かいの列に並ぶ。水四合、砂糖三度。二軒の白蜜は、煮方が一字も違わなかった。
夏の盛り、朔の氷だけが「食べると頭が痛くなる」と言われて三日で客が半減する。氷を割って気づく。今年の氷は縞が斜めに立っている。その晩に五貫潰して七度試し、削り台の爪を半寸ずらして十五度で当てる据え方を見つける。翌朝、値を二銭に戻すと列が戻った。その晩、葛西が砥石を三丁抱えて来て、二人は初めて一緒に刃を研ぐ。
四日の大雨で川が出て荷が三日遅れ、雨上がりの猛暑で両店の氷が尽きる。二人は暖簾を下ろして石蔵へ行き、いちばん奥の、どちらのものでもない一山を割ると決める。二十年前、二軒の親父が最後に二人で切った氷だった。二軒は毎年一緒に山へ入っていた。
九月、氷問屋の帳場で掛けが四十八両に増え、来年の八月末までに全額と切られる。道は三つ。店を畳むか、問屋の直営になるか、向かいと一緒になるか。葛西は二十四両を出すと言い、朔は断る。お前に出させたら、二度と向かいに立てない。
石蔵は川沿いの土手を四半里下ったところに、斜面に半分埋まって建っている。籾殻をかぶせた氷の山があり、そのいちばん奥に、どちらの店の帳面にも載っていない山が一つある。朔は朝と昼と夕方の三回、葛西は朝と夕方の二回、そこへ通う。氷代は去年の四両二分から、今年は六両近くまで上がった。
石蔵は手前と奥に分けられる。七間は縮まらないし、縮める必要もない。晩春から冬の山の池まで、氷旗を掛けてから仕舞って、また掛けるまでの一年。オメガバースBL・全10章完結。

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  • 道具を半分売った氷菓子屋ですが、氷の目に爪を半寸ずらしたら、向かいの氷菓子屋が旗を出す日だけは必ず同じ日を選んでくれます

    830pt/913円(税込)

    表通りの幅は七間ある。その両側に、同じ大工が同じ年に建てた氷菓子屋が二軒、真向かいに立っている。仲は悪い。それでも旗を出す日だけは、二軒とも必ず同じ日を選ぶ。
    間宮朔、二十九。十七でこの削り台の前に立って、今年で十二年になる。三年前に父が死んで、梶棒と帳面と借財を同じ日に受け取った。掛けの覚えを開いたとき、数字の桁を三度数え直した。数え直しても桁は減らなかった。父の道具は半分売った。売らなければ氷が買えなかった。
    葛西湊、三十一。七間向こうの店の主人。のんびり話す男で、値と数の話になると急に隙がなくなる。ある日、客に「向かいと蜜が同じ味だ」と言われて、朔は変装して向かいの列に並ぶ。水四合、砂糖三度。二軒の白蜜は、煮方が一字も違わなかった。
    夏の盛り、朔の氷だけが「食べると頭が痛くなる」と言われて三日で客が半減する。氷を割って気づく。今年の氷は縞が斜めに立っている。その晩に五貫潰して七度試し、削り台の爪を半寸ずらして十五度で当てる据え方を見つける。翌朝、値を二銭に戻すと列が戻った。その晩、葛西が砥石を三丁抱えて来て、二人は初めて一緒に刃を研ぐ。
    四日の大雨で川が出て荷が三日遅れ、雨上がりの猛暑で両店の氷が尽きる。二人は暖簾を下ろして石蔵へ行き、いちばん奥の、どちらのものでもない一山を割ると決める。二十年前、二軒の親父が最後に二人で切った氷だった。二軒は毎年一緒に山へ入っていた。
    九月、氷問屋の帳場で掛けが四十八両に増え、来年の八月末までに全額と切られる。道は三つ。店を畳むか、問屋の直営になるか、向かいと一緒になるか。葛西は二十四両を出すと言い、朔は断る。お前に出させたら、二度と向かいに立てない。
    石蔵は川沿いの土手を四半里下ったところに、斜面に半分埋まって建っている。籾殻をかぶせた氷の山があり、そのいちばん奥に、どちらの店の帳面にも載っていない山が一つある。朔は朝と昼と夕方の三回、葛西は朝と夕方の二回、そこへ通う。氷代は去年の四両二分から、今年は六両近くまで上がった。
    石蔵は手前と奥に分けられる。七間は縮まらないし、縮める必要もない。晩春から冬の山の池まで、氷旗を掛けてから仕舞って、また掛けるまでの一年。オメガバースBL・全10章完結。

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