優しいひとだから誰にでもだと思いながらも、気持ちが傾いていく。地域にやって来たばかりですぐ評判の立つくらいの、名士みたいな人が、ルックスも良く評判になっているのに、なんと自分になにくれとなく声をかけて接触してくるなんて。
娘ジェイドは前夫
に望まれずに生まれてきたから自分が精一杯育てる。その覚悟、とても理解できて胸が痛くなる。父親役をやれない男性にはついていけない。
そうなのだ、そんな人とは、子どもを授かったらそのあとの暮らしは家庭として大きな欠落がある。妻だけの役割を求められていた。しかも、その役目に前夫はダメ出し。結婚の失敗は明らか。
だったら自分一人で娘ジェイドを育てるわ、と、バツイチ。耳の聞こえづらい愛娘抱える生活に彼現る。若い未婚女性からの好意を一身に集めるモテぶりの彼からあり得ないと思うのが自然。
だから、ヒロインが例え自分が彼にとっては束の間の相手だとしても、それでもいいからと付き合う思いきりも、痛々しい。ただ、それでも、美しいとも思うけれど。結末にかかわらず逢瀬を重ねるのは良かったと感じる。自分を女として見てくれている事はやはり、今後を生きていく支えになる。思い出になろうとも。
物陰から娘の晴れ舞台を見てくれた、これは、大きい。実の父親であるはずの前夫にあり得ないことがでできる人。見に来たんだよというアピールのためではないわけだ。人間の魅力が出ている。
人柄の問題だから、男性として、という面ではない。この人にいつか自分が捨てられて傷つくまいとして自発的に終わりにすることなんて、この出会いを自分でやめるなんて。
でも、これだけ会えば、ね、あることで、そこは、思い切らねばならないと決断するきっかけではある。
HQは、シングルマザーに本当に素晴らしい相手を出会わせてくれる。このストーリー、彼視点で想像しても、髪飾りのこととか、ヒロインのワケわからない態度とかドラマがある。
そう「結婚とは毒リンゴを食べたようなもの」という、ヒロインの科白にこのストーリーの芯を感じる。おいしいリンゴも見た目は一緒。だれもその中身を食べてみるまで確認できない。
自宅で娘が練習していた、演し物が、白雪姫。
物陰て演し物を見守ってそっと会場を後にしようとした彼を、ヒロインは追いかけることが、幸せをつかむ大事な行動だった。
幸せも食べてみるまでわからない。
暗喩が効いている。
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