当時6歳の一人息子が行方不明になってもう2年――
誘拐した犯人からの連絡もなく、手がかりすらつかめず
単なる失踪事件として捜査は打ち切られてしまった。
息子を失った悲しみにうちひしがれる私を見かねた夫が久しぶりに旅行に誘ってくれた。その場所は山奥のひなびた温泉地だったが、「どんな願いも叶う祠」があるという伝説をもつ地だった。
ただし、願いを叶えて貰うためには“自分にとって最も大切なもの”と引き換えなければならない。そして、その祠には近づくなと村人にきつく忠告を受けた。
「あの子に一目でいいから会いたい… 何を引き換えにしてもいいから……」
しかし、その願いを叶えるために引き換えたものは信じられないものだった……