各巻各時代のカバー絵、見開いた頁の絵、中身の漫画それぞれにご担当が分かれており、文字ばかりだったら恐らく取っつきにくかった日本の歴史がイメージしやすいように絵解きされている。各時代のカバー絵は当代第一線クラスの漫画家に描いてもらっている。
会話も平易だし視点にも偏りなく、その時代の空気やら感じ取り方やらが身体に直接入る感じで、興味の持った時代それぞれに自分の興味で絞って読んでもとても楽しいだろうと思える。
日本史を説明するのに絵の力を借りているけれど、ナレーションが強く、絵は語っているというよりは語りを助けるという立ち位置に感じる。
これは試し読み版だから、もっと読み進めると、きっともっと歴史の中を覗く感じはするだろうと思うが、本文的漫画の絵の表すもののばらつきが気にならないか、と言ったら嘘になる。内容は多様である方がいいし、描かれる素材への視点も偏りなくて、そこはとてもいいのだが、漫画そのものの描き込みがアッサリと背景閑散になってるものと、精密な写実的絵が入っているものと、そういう意味でのばらつきはあるにはある。
何を取捨選択するか、なのかもしれないが、視覚情報の比重が高まるのがまんがの宿命なのだから、何をどのくらい描き込むか、得られる学習量の密度には一定の濃密さは欲しい。
しかし遠い記憶で、この種の漫画は何巻もあっても嵩張るし、何回も読まなくても子どもには頭に残るものだから、電書は向いているかもしれない。
多角的に直感的に映像的にいろいろな要素を詰め込める漫画で日本の歴史が読めるのは、とても知的興奮を高めると思う。複数読み比べも興味深いと思う。
歴史の表舞台に立っていた訳でもない人物にもスポットを当てたりして、対立関係の勝者敗者に関わらずそれぞれのポジションを掘り下げて描かれることで、この種の漫画は断然楽しい読み物になるかと思う。漫画からフィクション性を外しても、遠い過去が今の我々からはやはりロマンがあるというのを、読んで実感できたらいい。
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