キュンもキャラ目線に立って味わえるも、基本、笑わせてくれることが主眼だとしか思えない作品。そのカッコつけないメインキャラ二人の描かれ方、崩れまくっているヒロインとあくまで骨太におじさん感を出し通して若者寄せしなかったビジュアルのてんちょうと
の、微笑ましく潔い姿。一見買うのは勇気が要るが、実は、少女漫画に、私が求める男性のルックスを持たぬからといって敬遠して損した「俺物語!!」のケースを思うと、もう二度と絵の好き嫌い程度で判断はすまいと決めている。評判や試読の感触はやはり参考になる。それに、誤解を受けやすい外見に反して中身はピュアで真っ直ぐなのは、別にそのまま類型化していくらでもバリエーションが生み出されてもいいとさえ思う。
少女漫画には、容姿が凄いわけでもない主人公が、何でも揃ってる人気者から透かれるパターンがひとつ確立している。そういうある程度様式化されたストーリーは一つだけしか認めない、などとやっては結局中身が貧しくなる。少々似てる事を以て排除したら同じカレーを食べ比べしないみたいにさびしいこと。
というわけで、作者曰くの「出オチ」、これを所与のものとして進めた手腕は、私は、買いだな、と、感じた。イタイ場面は二巻までは通常モード的に入っている。そこをこれ以上やっても、というところに到達したら、巧みに二人それぞれのパパの強烈さが別の楽しみをもたらしてくれた。
また、私が特に柴先生のストーリー作りで惹かれたのは、スカウトの場面。このエピソードはオチまで突っ走って行ってハイライトといえると思う。
各話のまとまりの中で小さなオチが連続して構成されていて、結局斜め上に展開する楽しさがこの作品には沢山ある。
なにげに混ぜっ返し役にして焚き付け役でもある店長のキャラが、二人には重要人物だった。
佐々木さんの使い方物足りず、最終話で顔出しして欲しかった。この人はダンディおじさん視されてないからなのかな。
しかしレトロ劇画的な天頂のビジュアルはこの漫画には欠かせない。そこだけで斥けては本作品の魅力を感じ取れないだろう。
とはいえ、ほんのちょっぴり私も親しみやすいビジュアルであっても良かったのに、とは思う。
3月にシーモア島で教えていただいた作品。おかげさまで愉快なひとときを過ごせました。
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