武豊が原案のようで、どこまで関わっているかは不明だが作中の競馬関連の描写がなかなかリアルなのはそのせいかもしれない。競走馬は経済動物である過酷な現実を描いているのも、真摯に競馬に向き合っていると感じる。ただ私が評したいのはその辺りの競馬の話
ではなく、物語後半に展開される怒涛の格言集だ。実際のプロ騎手がこうなのかは置いておいて、騎手に限らずその道のプロとしての仕事との向き合い方、家族で穏やかかつ幸せに過ごす日々を「これは余生か?」と切り捨てるほどの夢への情熱、そして人は何のために生きるかという人生に対する考え方、過酷な競馬界のストーリーを通してこれらを火の玉ストレートで読者に投げかけてくる。耳が痛すぎてこの言葉が刺さらない人などいないだろう。すぐ他人や社会や政治のせいにし、成功者を妬み攻撃することで快感を得、不満を言うだけで何か達成した気になってその場に止まり続ける多くの現代人、一度読んでみてはいかがだろうか?
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