こういう転生ものを作って長くなると嘘くさくなってくるもので、それは生活感が全くないからだと思う。
異世界だし、転生したと言っても想像した異世界にリアリティを構築するほど深く洞察して生活感を作ることはな並大抵な努力では不可能だろうし。
だ
から、時間ととも設定が破綻するものだ。つまり登場人物の存在感がなくなる。
でもそういうことは起きない。主人公は元々腰掛けで始めた王という立場を、チートなくこなしている。誰かが言っていたが、現代に生きてちゃんとその情報を受けていれば、それだけで異世界に行ったらチートだと。特殊な能力など持ち合わせないでも十分チート。
日本で生活して、十分その生活様式や見聞があり、歴史を知って説明する力があれば、海外で生きる上での武器になる。つまり、「チート能力」だ。自分の生まれ持った環境の文化は、生存の武器である。
主人公はそれを異世界で発揮しているに過ぎない。なんか変な魔法使えるようになってますけど、まあ、一種のIoTだと考えてもいいと思う。
それらをベースに、家族から学んだ哲学と、愛情を受けて育った「情」をバランスさせて国を「統治」している・・・・・・
いやこれ、家を営んでるようにも見える。敢えて言うなら「家政」を施しているということだろうか。
何せ、主人公の思想のベースは、育ての親の祖父の考え方が基本にあるのだから。
生きている思想と技術発想が、見事に架空世界の生活を構成して読み進めるほど物語が豊かになるのを感じる。
素晴らしい秀作だと思う。
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