三兄弟中最も早くに父になり、アブエロ(スペイン語の祖父) を知らぬ間にひいお祖父さんにしていたベン。
兄弟最後の彼の番まで来て、彼の得た愛がガヴァネスの呪いの残り最終部分全てを解放。生命の危機にさらされた事故を乗り越えたことによって、彼の
それまでの刹那的生き方に警告と反省が彼をまず変え、そしてチャンスを与えられた。本当の強さを悟らせ、愛する者の存在を自覚すること。
しかし落とし胤は本当にジャスパーだけだったのか、なんて、思うが? そこはお話の世界のこと、君以上の女性は現れなかった、との言葉を額面通り受け止めるしかない。
宿泊施設としてのスパホテルのたたずまいがしっかりと描かれている。リゾート設備の描写も、自然に囲まれた湖畔の静かな環境の描写も、実に明確に伝わるし、雰囲気も落ち着いており、人目につかないで有名人が過ごすには最適空間との説明通り。さらりと充分な舞台装置を構え、気張った印象無いのに、さりとて絵がスカスカなことも全く無い。そして突然のむき出しのマスゴミの暴力的侵入、人の縁がもたらす善意悪意、そんな急展開要素に作り事の嫌らしさが匂わない。
人見知りジャスパーくんのベンとの初対面シーン、そのキャラが感じ取れる絵だった。HQて人懐っこい子どもが結構登場するが、こういう子どもも意外といるのでほほえましい。
しかしその後のジャスパーくんの絵の中には、シークレットチャイルド物のお話にしては今少し補足的な気がした。つまり、メインキャラにしては少々ミアよりあっさりした描かれ方で。その割に沢山使われていることがなんとなくバランス悪い。109頁、目が大き過ぎ。
マッサージシーン、なまめかしく描いてももそれなりにインパクトを残せたろうが、この清涼さとよろめきさの配分がいい感じと思った。
マスゴミの横暴については、彼らを封じ込められるパワーの持ち主しか制することの出来ないと示して、妙なリアリティを見た目気がした。
シリーズ三作共にHQ頻出の公式で紡がれたが、本作は締めくくりのエピソードが含まれ、三作とも読んだというその読書ラリーのコンプリート記念感覚は得られる。ガヴァネスと共に消えたネックレスももしかして現れるかも、と思っていたら、他の二作で少しずつ増えたとはいえ、それでも僅かに提示するだけだった超常現象より、なんともあからさま。
呪いはストーリー的に正しく消えた。
もっとみる▼