冷戦下、西国(ウェスタリス)のスパイのエース、ロイド・フォージャー(暗号名・黄昏)が、こちらもそれぞれワケあり・思惑ありのヨルとアーニャを妻と娘に仕立てて偽装家族を演じつつ、東国(オスタニア)総裁を監視する任務に奮闘するお話。
任務遂行中
の黄昏のクールな格好よさをスタイリッシュで洗練された絵で描きながら、他のキャラと絡んで話がコメディに転ぶおかしみがクセになります。
「スパイが主役なら or このキャラ設定なら、ストーリーはこうあるべき」「この先のエピソードはきっとこうなる」などという、我々読み手たちの古くさく月並みな想像をあっさり裏切り、キャラの過去のシリアスな因縁や、私たちの日々の閉塞感すら軽くかわしながら疾駆していく展開が痛快です。
この晴れ晴れと軽やかな魅力を体現しているのがアーニャですよね!ボケであると同時にツッコミでもあり、その生来の特質ゆえ、混乱した事態を俯瞰する一方でますます攪(カク)乱もする。状況に振り回されているようで逆に周囲をブン回す!時にユーモラス、時にシニカル、ネガティブとポジティブをクルクル行き来する彼女の発言や表情が私たちを魅了してやみません。
各巻の表紙絵がミリタリー感あるオリーブドラブ色で統一されていてオシャレ、かつ、キャラにぴったりな椅子とか遊びのある小物配置にくすぐられます。ダークファンタジーにお疲れ気味の皆さまや、ギャグや物語性が好きな諸姉諸兄、だけでなく、ディテール好きな方々にも、ぜひ。
シーズンを重ねるにつれ、いっそうきらめきを増すオープニングとエンディングの映像と、軽快で洒落た音楽。息づかいまでもが「彼らそのもの」だと思わせる声優陣の演技。この作品の魅力のひとつが「軽妙洒脱」(=あっさりしている中に面白味があり、洗練されていること) だと改めて感じさせてくれるアニメも、言わずもがな、最高でおすすめ!
(ちなみにレビュー当初は、連載が何年も不定期な某有名漫画と同じことが起きないかと不安なあまり、最新刊を買っても読めずに次を待つサイクルの繰り返し。
ですが、2022年〜のアニメ化を機に編集ご担当者のSNSをフォローし始めると、作品の面白さを届けようとする氏の熱意にほだされ、声優陣によるぶっ飛び「キャラクターお絵かき」に爆笑したりするうちに不安も薄れ、最近とうとう最新刊まで読みきりました。
そしてもう、当然のごとく次が早く欲しいです…)
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