ダーティーヒーローにあこがれ破滅へと向かう……
偶然に見かけたあの人の顔。その瞬間――胸の奥深くで何かが小さく破裂した……。
私が新入社員だった5年前。新人OLと第一線の営業マン。熾烈なビジネスの世界で華麗に舞うクールなダーティーヒーロー……。そんな彼が顧客の資金を無断で運用し、巨額の損失を出したことが発覚。即日、懲戒免職され横領の罪で告訴された……。
あれから5年……。忘れられたアイドルのように私の記憶からは消えていた。
そうあの日まで……。
その日からは、一流企業のサラリーマンの彼とのセックスもおざなりに……。
「いいの!? 平凡な男に女としての一生を捧げてしまっても……」
いっそ何かも壊してやり直したい!!
日増しに強くなる焦燥感——。
かつてのダーティーヒーローが変わり果てた姿となっている公園に向かっていた——。