平和主義を自認し、他人から優しい人と評される万年平社員と、営業課のエースで優秀だがイマイチ何を考えているのか掴めない同期の男との壮大な愛のお話。
とんでもなく素晴らしい作品に出会いました。たくさんの人がオススメする中、なぜもっと早く読まな
かったのかを後悔するくらい、本当に神作品です。
ページ数もさることながら、内容がとにかくボリュームがあります。最初こそ普通の同期の恋愛模様かと思わせて、1話目から大門の二面性を暴き、またそれが全て小島の手のひらの上の出来事だったという衝撃。そこからディープな小島の裏の顔に驚かされながらも、大門の苦悩が描かれ、2巻で一旦は平穏な解決で幕を閉じたかのように思わせます。ところが3巻で小島の失踪という裏切られたような展開から二人は一度離れますが、それさえも小島の手引きだったというあっ晴れすぎる大どんでん返し。まさに上下左右に振り回されるジェットコースターに乗った気分で、最後まで息のつけない物語に目が離せないほど夢中になりました。
そして、この物語が素晴らしいのはこれだけの複雑で深いお話を4巻にまとめたということ。会社での社会的立場が変化していく成長物語、大門を抑圧していた家族という名の歪んだ圧力からの解放、SMという変態的な性癖の世界、愛されることを怖がる小島の暗い過去、閉鎖的な村の有力な家に隠された秘密、そしてそれらを包括して惹かれ合う二人。人間物語と特殊性癖をごちゃまぜにして、ミステリー要素を取り入れながら組み立て、壮大な愛の物語へと導く。もう、イイモ先生の天才の所業にただただ感服するばかりでした。
物語としても最高の展開、ストーリーなのに、更に素晴らしいのはえちシーンの数々。普段は優しい大門の怖いくらいの攻めっぷり、トロトロ、ドロドロになりながら快感を受け止める小島の表情、一つのえちシーンに割くページ数の多さやその時々の二人の気持ちの違いなどを鮮明に表現する内容など、どれを取っても文句のつけようのない最高の出来。読まないと人生損をするとまで言える作品だと思います。
1話目からは考えられないような幸せなエンディングが迎えられるのも嬉しい誤算。まだまだレビュー数もそこまで多くはないこの作品。もっともっと多くの人にこの本の素晴らしさを味わって欲しいと心から思えるお話です。
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