絵もお話も、なんて魅力的なんでしょう!
好きです。めっちゃ好きです、こういうの。
常々思っているのですが、人物を描くのがどんなにお上手な作家先生でも、更に動物を描ける先生は意外と少ないのです。作品に、特に身近な犬や猫が登場した途端に
ガッカリ…という経験も多く、私の中ではそれだけで株がぐんと下がります。
五十嵐先生の描かれる猫たちの、なんと生き生きとしていることか…素晴らしい描写力!
写実的でありながら、マンガ作品としてのこの作品にまったく違和感なく溶け込む描かれ方…思わずため息が出ます。
そして、もう何十年も行ってないけど、鎌倉に行きたくなってしまったじゃないですか。
そう、舞台は鎌倉。とある猫雑貨店の従業員たちが登場人物。いや、登場猫?鎌倉の街と自然、寺社や伝統文化、実際のお店もちらり。
特に惹かれるのが、ちょっと不気味で日本的な、猫にまつわる不思議なお話の数々。異形、変身譚、場の怪異。舞台となる雑貨店が、遠野物語で言うマヨイガのような「場」になっているのが面白い。
ちょうどいいところで次巻へ続く……くぅぅ!
この五十嵐先生の作品がBE・LOVE誌で連載されていたなんて、まったく存じ上げなかったです。前日譚もぜひ単行本化していただきたい。
先生の作品は風景画に特に定評がありますね。ペン先が見えそうな描き方。私の中では青年誌のイメージが強かったけれど、決してゴリゴリの青年マンガ絵ではないなと思っていて。今作の絵の滋味深さ…作品の雰囲気もテーマも女性誌に寄せているのでしょうか。主人公たちの猫的距離感が、ほんの少しブロマンスを匂わせる系なのも申し分ないです…目が喜ぶの。
いや〜これ、紙でも買うわ。
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