英士は首を傾けて唇を重ねようとした。杏里は目一杯体を後ろに引いた。絶対にバレてはいけない。平穏な人生を守るために絶対…「い、家で」 唇をぐっと噛み、杏里は交渉すように穏やかでない様子で囁いた。すると英士の瞳が一気に輝いた。 「家?」「うん。退院させてあげる。だから…家で」「続き、しようって?」松林大学病院レジデント4年目の坂下杏里、突然訪れたトップスター桂城英士により人生どん詰まりの危機にさらされる。ヒヤヒヤする秘密を抱えた、でも愛らしい、私と同居人の物語。
秘密の同居人【タテヨミ】(80巻完結)