アンティーク店を営む吉永明男は、人生の虚しさを埋めるように、謎の美女・行美美美子に狂おしいほどの愛を抱いていた。
美美子と関係を持った明男は、男として、また人間として成長したような感覚に浸っていたが、それは同時に、愛の美しさだけではなく、人間の持つ深い「業」の悲しさをも知ることだった。
そんな中、美美子から衝撃的な告白を受ける。「結婚しなくてもいいから、あなたとの子供が欲しい」。美美子は、そうすることで、明男と離れずにいられるのではないかと願っていた。
しかし、その言葉は、明男をさらなる重圧へと突き落とす。愛する女性との間に新しい命を授かるという幸福なはずの未来が、明男にとっては、逃れることのできない「業」に縛られる、重苦しい現実のように感じられた。
美美子との関係が深まるほどに、明男は愛の歓喜と、それに伴う苦悩の狭間で身動きが取れなくなっていく。彼が選ぶべき道は、果たしてどこにあるのか。