ニューヨーク。摩天楼の光は、罪を隠すには十分すぎるほど眩しい。安倍秀一としての仮面が揺らぎ始めた龍児は、新たな逃亡先であるこの街で、すでに狙われていた。彼を狙うのは、殺し屋――ハッパ・ハオレ。しかし龍児は先手を打っていた。彼が雇ったのは、妖艶な殺し屋プッシィ・キャット。キャットの甘美な話術に絡め取られ、ハオレは警戒を解き、彼女とベッドを共にする。だが――それは罠だった。キャットの身体に仕込まれた毒。接触によって体内へ巡る遅効性の毒素。ハオレは、静かに死へと向かう。その前に現れる龍児、手にしているのは、小型のチェーンソー。龍児は残酷な選択肢をハオレに告げる。一方、日本の火災事件で死んだはずの母、万里子。猛火を生き延びた彼女もまた、ニューヨークへ降り立つ。炎よりも強い復讐を胸に。彼女が依頼したのは、ニューヨーク・マフィアだった。標的はただ一人、安倍秀一と成り代わった息子、鬼山龍児。「あなた方マフィアにも血の掟があるように…私には私なりに許せない一線があるわ。私の息子はそれを踏み躙った!! 死で償うしか他に道はないのよ」ニューヨークは、母と子の戦場となる――。鬼才・前田俊夫が描くピカレスクロマン、第一部完!