レーシングドライバーだったヒロインシャナの夫は事故で再起不能となった。その苦しみは2重の十字架となって夫婦に重くのしかかり そして夫は耐えられずに戻れないところへと逃げた。シャナは3重の十字架を背負いながら、刻々と迫る最後の時をただ独りで待
つという選択を自分に強いていた。その孤独と絶望を色濃く伝えるのにこの作画は似合い過ぎていて恐怖が伝わる。私にはキャラクターが蛇のように見えるのだ。重く暗い全体の重圧感と、そこから脱却させたいヒーローリックの物凄い執着具合が 呻るように響いてくる作品と思う。私を愛させてはいけないし、愛してもいけないとシャナの想いが伝わって息がつまる。人妻と知っても忘れられなかったリックの一途さがあっての展開は、彼女に一縷の望みを持たせるに十分で、泣けてくるが、こうまで都合よく事が進むと少々気落ちもする。だが、リックならシャナにどんな夢でも見せてくれそうな幸福的希望が予測できる。
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