少女の頃の初恋はトキメキのキラキラの思い出なのはよくあること。そして、どんな事情が有れ終わりを迎えるのも。ヒロインシンシアの場合別れは、自分の意志でなかったから後悔は大きくそして思いは10年という永続的なものになってしまっていた。父親の最後
の言葉に縛られての経年には残酷な親だと憤るが、娘も16歳では父親の言葉を額面通りに受けてしまっただけなのが悲しい。また、母親自身が小説家として身を立てていながら 芸術家を(夫)を口汚く罵っている裏腹の罪悪感を、成長する娘を見ても縛り続けるという執着を見て震え上がる。ヒーローリックの物思いはよくある設定だけれどナルシスト強めな印象でも、木彫りの人形に託された心の描写は素晴らしく物語に奥行きを持たせてくれていた。シンシアの初恋の彼に似ている男性に惹かれていくという変わらない感性なのか、引きずっているからなのか分からないが、暗闇の中で五感を働かせて外見ではないところで成り立たせているところは ロマンティックではあるが物語の先読みが出来て少々不満はある。携帯電話無しには驚くけれど、会いたいと思っていても 何かしらのトラブルによって会えないすれ違いを 無茶をしてでも会いに行くことで解消されている展開が、なお一層切なさと衝動を伝えてくれて感動があった。
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