ヒーローヴァンは、ヒロインアニーとの10歳の年の差に 焦れてはいても、忍耐強く、見守る姿勢を貫いてきた。子犬か子猫のようにじゃれて懐いてくるアニーに 幾度もその壁を欲望の波が越えても 彼は押し戻すという強靭な理性を見せてくれて諸手を挙げて読
んでいた、そういう物語だと。私の記憶でもリグリア海は領域が狭く、同じ風景なのは仕方ないけれど、海溝深いイメージが有って 海の色はもっと濃いような気がする。街並みもきれいに描かれてフランスの臭いを久しぶりに嗅いだ気がした。そして物語は、計ったかのようにアニーのボッチマスの涙のタイミングで彼は現れた。ちょっと都合よすぎな感は有るのだけれど、ここまでの彼の素晴らしさを読んでいた私にとっては、許せる展開です。30歳を目前にする男性が、それと自覚してから約4年、人生の目標にしているもの2つを手中にする目前で指の間から零れ落ちた。セリフには直接的な言葉が無い分 私にはその気持ちを作画から予測して汲み取るという 久しぶりに読むという事の楽しさを味わえる作品でした。それでアニーの苦いファーストキスの後に甘いキスの差し込み具合には、この後へ続くトキメキ要素抜群でした。若いという事に措いては、分からない事もあって知らない事は当然ある。何もかもに未知数で可能性もまた然り。そんなところは何歳ならば充填するのかなどは個人差もあるわけでヴァンもアニーも目標を強く意識していただけに それを御座なりにして結婚は無かったわけです。可愛い子には旅をさせよといいますが、可愛すぎると手放せない。辛辣な言葉の一つも浴びせて突き放してしまうのは いわばお約束みたいなもの。まあ、彼の場合は 待って待って待ってようやくその時が来たと思ったその矢先に 思うように運ばない八つ当たり爆発、まるでフランス映画のようです。でもその先に、もう一度道が一つになるその時を2人が希望しているなら お互いは隣にいるのです。
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