明治維新は遠くなったと思っていた主人公が巻き込まれた、藩政の名残の強い田舎の話。「はいからさんが通る」を連想する登場人物の顔も。
賑やかなメンバーをそろえた野球チーム。野球とはどんなものか、を知らない連中相手にチームとして形を成すまでも大
変だった。そこから始まって快進撃を果たすところは、登場人物達にとってどれほど充実した時期だったか。
ちょっと家庭の事情関連の後半の絡みが組み込み不足感はあった。主人公の生育事情も誰が育てた、ということだけがまずありきで、それに至らしめた背景の説明力と一緒には合理的に収束しきれないまま。
不穏な時期が過ぎてこれから、というときのもの悲しさが、この話を引き締めてもいたし、ストーリーが次第に息詰まる時代背景色を見せるも、人々はこの新しいスポーツに夢中になって取り組み応援し、、、というところに面白味がある。1巻目で主人公が都会から時代錯誤の地方で苦闘、2巻目で野球チーム創成と地元での奮闘へ、3巻目でチームの全国区的活躍とその顛末、が凡その構成といえるが、なかなかこのフィクションに騙されきれなかった。作り過ぎたような印象は残る。
流れるような優美な線がこの漫画を格調高くしていると感じる。
ごつごつしているキャラと、スラっとすましているキャラが無理なくワンチームに居る描写に違和感ないのがとてつもない大和先生の技量なのだと思う。
泥臭さは無く、脇役たちの幾つかのドラマが本編を彩ったが、反面少々散漫であった、とも感じた。
青春ものと見ると、突拍子もない自由な展開でありそこは笑いを取りに行ったことがわかるけれど、現代の私たちが普段抱いている野球イメージとは異なる、あの時代というものから逃れきれない性格づけがなされているため、明るくてカラリ軽い、という一言で済まされない要素が効いている。
花鳥さんももっととことん幸せになって欲しかった。
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