初読み作者さん。何気なく手にしましたが、深いお話でした。読み手の年齢で物語の感じ方が変わる様な気もしました。
教師の母親が亡くなり、誰も居ない実家に戻ってきた巡さんと、民生委員(と児童相談所)をしている母親にゲイだと打ち明けてから、その母
から渡されたスカートで登校している恵一くん。このスカートが彼にとっては鉾であり盾として、自分の心を母親から守っている…そんな2人のお話。
若い世代が読めば、恵一くんの心の苦しみが身近に感じると思うし、巡さんに近いと 親世代の価値観に理解しつつ、恵一くんの辛さも何となく感じて…、そして母親の立場の読み手が読めば、生き方の違う我が子を理解をしていると言っていても心のなかにある自分の気持ちは、核心を突かれた時に出てしまう。それが我が子をどれだけ傷つけているのか、本人も分かってはいるんだけど、母親を盾にしてしまって向き合わないでいる…。
この母親を悪くいうのは簡単だけど、親も子もCMに出てくる様な、いつもみんな笑顔な家族なんて幻想な訳で、山あり谷ありの親子の関係をそれぞれの一生をかけて築いていくんだろうな…と思います。
この恵一くんもその母親も、スカートで登校していた頃の事を、あの時は…とお互い話し合える日が来るんだろうな、と思いたいです。あとがきの2人を見て、そんな未来を想像してしまいました…。最後のわーいの手がめちゃくちゃ良かった…
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