正直ツッコミ所も少々あるけれど、そんなこと遥かに超越して好きな作品。三部作のラストを飾る、大満足の内容でした。
まずは二人の同棲生活から。前作まで見守ってきた読者には、ご褒美のようなラブラブっぷり。あの甘え下手の徳永が、ここまで心を開いて
……!と、これだけですでに感無量です。あ〜も〜何だこの可愛い人は。
そこから遠距離恋愛で、誤解やすれ違いが起こります。まあ展開としては定番ですが。でも、高梨にとって徳永がどんなに愛しいか、徳永にとって高梨がどんなに大切か、ここまでの積み重ねがしっかりあるから、切なさが真に迫って……泣きました。何回読んでも泣きます。
そして、誤解がとけて元サヤ!めでたし!といかないのが、この作品のさらにいいところ。二作目でも描かれたように、徳永の心の傷は複雑で根深いんです。その傷に、時間をかけて寄り添う高梨。このくだりがあるからこそ、二人の未来に説得力がありました。
この三作目は、章の数え方がよくあるChapter〜とかAct〜とかじゃなくて、Road〜なんですよね。道。そして、手を繋ぐ二人。1章(Road 1)の扉絵がすべてを象徴しているようで、読み返すたび、この扉絵を見ただけでじわっと来ます。
感動の本編から、描き下ろしではささやかな日常を見せてくれるのもまた好き。通常運転に戻った二人にほっとして……最後の最後には、高梨に最高のご褒美が。
ところで、前作までとはテイストの違う白い表紙、これは結婚式のイメージだと思ってます。古谷さんとバージンロードを歩いて、高梨の元へ。……で、高梨が優しく見つめるのは徳永で、徳永が切なげに振り返るのは古谷さん……ていう。ラスボス強し!!
もっとみる▼