■蓮くん派か安堂くん派かで恋愛観がわかる
――今回のテーマの大倉さんが実は好きだった“カミングアウトマンガ”に関してですが、実は、どんなマンガがお好きなんですか?
「実は…少女マンガの『ストロボ・エッジ』(咲坂伊緒)が好きですね。主人公の(木下)仁菜子ちゃんが、彼女のことが好きなクラスメートの安堂(拓海)くんが気になりつつも学年一の人気者の(一ノ瀬)蓮くんと惹かれ合っていく、という三角関係を描いてる作品なんですけど、女の子と話すとき、蓮くん派か安堂くん派かでその人の恋愛観がわかるんですよ。」――へえ、意外ですね、ちなみに大倉さんは誰派なんですか?
「断然、安藤くん派です。蓮くんは“ザ・少女マンガの主人公”みたいなクールな学園のアイドルで、安堂くんは元気でバカっぽいところもあって“仁菜子好き好き!”って感じ。女の子に“わたしは安堂くん派”って言われると、“そやろ? 僕も安堂くんがいいねん”って共感できます。“一途に思い続けてるのになんで伝わらへんねん”“なんでそっち行くねん、どうせ傷ついてこっちに返ってくるのに……”“結局そっちと結ばれたか、クッソー”とか思いながら読んでます(笑)。ページをめくりながら“こうなるんやろな、絶対こうなるわ、あーこうなった!”ってひとりで盛り上がったりして。実写版を見たときも、僕っぽいなって思いました」――どうして少女マンガに惹かれたんですか?
「きっかけは小学生のときに読んだ『姫ちゃんのリボン』(水沢めぐみ)がすごく面白かったんです。少女マンガで学べるものってあるじゃないですか。理想の恋愛とか、男はこういう振る舞いをしたら女の子はキュンとするんだな、とか(笑)。人生や恋愛の取り扱い説明書みたいな感じで読んでて、今の仕事にも役立ってます。トークショーで“この夏したいデートは?”って訊かれたら少女マンガで読んだことのあるシチュエーションで答えてみたり、とか」■『イタKiss』は僕の人生の基盤
――他にお好きな作品はどんなものがありますか?
「最初に話した『姫ちゃんのリボン』の他に、もうひとつ少女マンガとの出会いのきっかけになったのが『イタズラなKiss』(多田かおる)ですね。ドジで明るい主人公の琴子が超秀才の入江くんに片思いする 王道の少女マンガなんですけど、 主人公がいて、彼女が好きな理想の男がいて、彼女に恋する男もいて、 いろいろあるけど結局は…というストーリーを 主人公の琴子と入江君の成長にあわせて書いてあるんですよ。 いま読んでも僕の人生の基盤となってるなぁと思いますね」――構造を意識した読み方がクールですね。
「人生や恋愛の取り扱い説明書なんで(笑)。“これに比べたら俺はまだまだやなぁ”と思って読んでます。少女マンガってだいたいどれも恋愛が絡んできますけど、その方向性というか展開が面白いんですよね。主人公はどういうキャラで、相手はどんな男で、どんな脇役がいるのか。始まりは放課後の教室なのか、電車の中なのか、卒業式なのか。そこからどう展開していくのか、作品によって方向性が様々なのが参考になりますね。」――電子書籍は利用しますか?
「してます。それこそ『イタズラなKiss』とかは、主人公たちが高校生から大学生になって結婚して……っていう23巻もある長いお話なので、電子書籍で買って、移動中や撮影の待ち時間に読み返してます。iPadで電子書籍読んでるとかっこいいんですよ。“あいつ、あんなん知ってるんや”“IT強いんかな”みたいな(笑)」――そこですか(笑)ちなみに他の作品はいかがですか?
「僕は、今風のゆるふわな絵が好きなんですよね。『360°マテリアル』(南塔子)とか『好きです鈴木くん!!』(池山田剛)とか『orange』(高野苺)とかも、登場する女の子もタイプですし、男の子もイケメンに書かれている感じがすっごい好きなんですよ。」■少女マンガは友情の架け橋です
――少年マンガはほとんど読まない?
「いえ、『WORST』(高橋ヒロシ)や『ドロップ』(品川ヒロシ/高橋ヒロシ/鈴木大)とか読んでましたよ。ヤンキーかっこいいとか、読んだあとにちょっと強くなったような気がするとか、誰もが通る道ですよね(笑)。あと『BLEACH』(久保帯人)も好きでした。僕、自分が黒崎一護だと思って読んでました(笑)」――敵よりもヒーローに感情移入しちゃうんですね。
「そうなんですよ、僕はずーっとハッピーがいいんで、やっぱりヒーローの方に感情移入しちゃいますね。」――すーっとハッピーがいいから、少女マンガがいいのかな。
「強すぎる敵も出てこないし、殺し合いとかもないじゃないですか。あとは最初にも話しましたけど、女の子と話が合うんで(笑)。僕、もともと人とコミュニケーションをとるのが大好きなんです。男同士は別に探らなくても共通の話題があるけど、女の子とも共通点を探って会話するときに、“好きな少女マンガは?”がきっかけになるという。僕にとっては友情の架け橋みたいなものです」――いいですね! タイトルに使わせていただきます。“少女マンガは僕と女の子たちとの友情の架け橋です”って。
「なんかヤらしいですね。ヤらしさはまったくないんですよ!(笑)」
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大倉士門 |