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とても好きです。
ただ順番が回ってきた、という理不尽にも思える状況の中、それでも自分の力の精一杯で戦いに赴く少年の姿にグッときます。コロッケを食べるシーンが地味ながらすごく好きで、王様ごっこがやけに楽しそうなのもツボでし
た。
設定の仕組みが詳しく明かされることはありませんが、その理不尽さがある意味現実的で、何もわからない状況であっても全力を尽くさねばならない時がある、という覚悟が見えて引き締まるものがあります。守れる範囲は限られているというのも、一人の力には限りがあるという切なさがあって良かったです。
あとがきで作者さんが「男の子はみんなRPGの主人公」という旨のことを書かれていて、その気持ちがとても良く表されていると思います。
少年の自らを主人公とした戦いはたった一人のものであり、手助けできるものではありません。戦いに赴く後ろ姿を寂しさと無力さを抱えて見送りながら、回復の支度をして待つのはつらさも伴います。でもそれもまた、別の形の戦いなんだよね。
弱くて強くてまっすぐな心優しい少年達、ひとりぼっちの戦いでも、心は隣にいてくれる誰かに出会えますように、という作者からの願いが滲み出ている気がして、なんだか胸が熱くなります。
私は男の子にはなれないけれど、という少し胸が痛む気持ちと憧れをもって、コンピューターRPGを画面の向こうの彼らと同調してプレイしていたあの頃を思い出す、そんな作品でした。
m◯ther2のプレイ経験がある人にはもっとグッとくるのかもしれないと思うと、少し悔しい気も。
書き散らし気味のレビューになりましたが、これはなんだかじわじわ刺さります。
あと、BL風味は付けてありますが、BL描写はキスすら無いですし、個人的分類としては少女マンガ枠です。
このレビューに書かれたことに引かれるところがある人には、読んでみてほしいな。
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