初期のオメガバースは、スパダリαに惚れられる女の子みたいなΩ…というのが多くて嫌いでした。
最近は複雑な設定や、現実味のある設定が増えてきたので読むようになったのですが、この作品は第二性が実在した場合の階級社会の汚い面が具体的に描かれてい
るところがお話として気に入ってます。
ほっこりBLの対岸、ちょっとハードボイルド風味というか。
一巻は、ヒートでも興奮しない、フェロモン過剰、嵯峨野に長年片想い、親友が嵯峨野の運命の番…という高森の個人的なしんどさと孤独を、生真面目で心身ともに逞しい三好(猪突猛進ゴリラw)が救うところが良かった。
(三好に出会えた高森を何気なく祝福する室生もよかった)
2冊目からの『オルガスムスの〜』は、Ωが根本的に抱える生きづらさを犯罪に絡めて描いていて、ものすごくしっかりと刑事ものです(細かいツッコミどころはあると思いますが、刑事ドラマでもありそうなレベルだと思います)。タイトルの「幻肢痛」もうまいし、なにより大真面目に感心してしまったのは「スケベイボ」というスラングの名付けセンスですよ。実際に人間に交尾棘が存在して、それが感じる要所だったらこのスラングしかあり得ないんじゃないかな。
とんでもなく下世話な言葉を発明したなぁとは思うんですが、【もしも第二性があったら】という世界について、この作品の解像度が高いってことだと思います。
四門という権力・能力ともに強めの大ボスがひとまず片付いてしまうのですが、前例なき強いΩ・高森の話をもっと読みたい。
あと、高森が可愛くなってるところがもっと見たいかな…。三好のためにもw口の悪いツンツンの面も好きなんですけどね。
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