写真家ヒロインイーヴァの「調和」と題された写真が白黒であることが残念だが、その存在感は非常に大きい。日暮れの柔らかい光 とセリフにあるように 暖かな夕暮れのオレンジ色の光が赤子を背負う母の頬を照らしているのだろうと目に浮かぶ。物語は、「囚わ
れの宝石」のシリーズで、画廊アークエンジェルのオーナー3兄弟の長兄の物語だが、「囚われのー」物語に比べればインパクトは小さい。が、明らかな奇才の持ち主であるそれを見せてくれている所には、その作品に及ばずとも個性が光るように思う。並なHQのように その容姿性格に惹かれるだけでなく、その才能が付いてくるのだ。そしてそれを見抜く目を持つヒーローミカエルも心に痛みを抱えていた。愛している女性に裏切られた。しかし、愛している女性と他の女性を区別するが如く出来てしまった防波堤が、彼女を失ってもまだそこに残っていて 押し寄せる感情という名の波を寄せつけていない。しかし、イーヴァを前にして、彼女のあまりにも短い期間で体験した 命と死が巡った時間と、彼女の作品の物語に イーヴァという波が 彼の防波堤を越えてきた。その瞬間のP64の作画が私は震えるくらい好き。長兄だけに堅いイメージはお約束なのかもしれないが、情熱はあって自制心も感受性も強く、言葉足らずだけれど好印象。後の展開には誤解もあるが 大天使様はひざまずいていました。
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