『スクランブルメソッド』シリーズから入り『ファーストエッグ』で虜になってしまいました。前作がミステリー要素の強い作品だったのに対して、今回は…何と表現したらいいのだろう?ミステリーでもないし、単なる恋愛話でもない…ヒューマンドラマのような内
容ですかね。読み応えはありますが、好みは分かれそうな気がします。他の作品もそうですが、先生の書かれる文章には《あそび》が多いなと感じます。なので、同じ一文を読んでも人によって捉え方が違うのだろうなと思う事が多いです。文章でも作品全体としても、そういう《含み》を持たせる構成がストーリーの厚みを作っているのだと思います。気づくのが大分遅くなりましたけど、タイトルに込められた意味に自力で辿り着けたのは嬉しかったです。『真音』と漢字表記しかなかったので、始めは『まおと』と訓読みしていましたが、途中色々とキーワードに気づいて表紙のタイトルを拡大してみたら…小さくローマ字で『シンオン』と書いてあり、音読みするのだと分かりました。すると『真音』→シンオン→心音と繋がりが見えて、感動しました。『心音』は心臓の音と名前、両方の意味があると思います。と、ここまで推測して鼻高々だったんですが、ラストのあとがきを読んで先生はもっと広く深い意味をもって『真音』と名付けたのだと判明して、少し恥ずかしかったです。でも色々と考えさせられる素晴らしい作品でした。
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