『妓楼の軍人』のスピンオフです。あちらがスイートだとすれば、こちらはビター。容赦がないです。個人的には主人公に甘すぎる話より、汚いものを汚く、痛いものを痛く描くお話が好きですが、描写力が高いだけにリアリティがありすぎて、主人公の痛みや辛さを
モロに感じてしまい、気持ちが沈んでしまいました。いつもながら流麗で美しい筆致、完成度の高い物語には文句のつけようがありません。ただ、最後ハッピーエンドになるのなら、もう少し途中で辛さが軽減できる方法があったんじゃないかと、読みながら何度も考えてしまいました。エピローグでは「ああ良かった」と安心するよりも、「もうこれ以上辛い目に遭わせないで欲しい」と祈りにも似た気持ちが沸いてきました。
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