非現実的な内容のオンパレードなのだが、わりとなんでもアリの状況への導入にはじめに成功しているため、説得力を損ねることなく面白い物語になっている。あとは変に人を救うみたいな話ではないため、見方によっては虐殺と言える内容であっても、自衛のためで
あり仕方ないと思わせる物語である。変に国家などについても理不尽なルールで成立しているいびつな設定にしていることによって、心理的な非現実さを感じさせない。みんなおかしい世界だから多少おかしいくらいで違和感が生じない。全体的にものすごい説得力や現実感という感じではなく、絶妙な設定のバランスと導入が成功したことによりとても面白い物語になっている。ちなみにこの先生の作品でそういうバランスの成立に失敗してあまり面白くない作品になったものも読んだことがあるので、この作品はいろんなものが噛み合った結果の会心の一撃的な傑作なのだと思う。
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