テンポよく言葉が彼らを写し出して理想郷的なヒロインの新天地が、手を引っ込めても怯まず向こうから手を差しのべてきてくれて、邪険に固辞しても辛抱強くほぐして来てくれて、心開けば幸せがきっとそこにある、ということを語った話だった。しかし、回りくど
い記述の箇所が、物語を必要以上に長いと感じさせる。特に後半20%以降。
冷酷で意地悪な親戚が出てくる。その配置は物語作りのための設定強く、物語の後半になるまで作者が意図的に説明を浅く済ましていることが余計に、ストーリー中の彼女らのキャラ造形を立たせておらず、主人公の苦しみがそこまで浮き彫りになって共感を呼ばせられない。
夜に出かける秘密を伏せておくには、彼女らの登場もまた満を持して、としたいのは分かる。だが、おじいさまの状況からのヒロインの状況も、両親と祖父、その他の環境から形成されたヒロインの性格も、理由として利用するには、ヒロインの頑なさ、自立心といったものに、正当性以上の偏屈ぶりをも私は感じてしまっていた。
BBQ イベント以降物語の展開は、作者が別人であるかのようにすっかりもったいをつけて、テンポがガラリと変わる。状態や心境を説明する使用語数が驚くほど増えて、まるで文字数頁数稼ぎのように停滞感、手詰まり感が私のなかでは大きく頭をもたげてくる。既に感じ取り合っている信頼や安らぎをこねこね表現し直しただけ、という印象だった。
働き者設定で時間いっぱい動き回っている描写ある割には、私が感じるのは、ストーカー的ジェイソンの方が、仕事の成果を出していること。
事件ちょくちょくあるが、その犯人のやり方も、却って警戒を強める結果となり、ストーリーのパンチ力に成ってない。犯人が相当馬鹿でないとおかしくなる。怖がらせる為だけに、姿を見せない犯人を小出しにしただけに感じる。
コルトの年齢設定と、オナーへの振る舞いや態度、学校生活の影の無さ、等々色々とピンと来ない。微妙な年頃描写よりも、作者が都合よく大人として書いた印象。
二人の関係進化に、その上友人達のカップル形成と、タイプの異なるペア登場は面白くはあるけれど、ロマンス物としてのヤマ場は散らされる。共に細かに語られ過ぎ、両方共配分が大きい。
32%「オナーは彼らの敬意を求めていた」は尊敬?46%「どうにかしてそれを事実にしなくては」の事実とは?55%「枕と毛布に呼ばれて」は感覚的過ぎて、と不明だった。
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