この結婚は愛ではなくビジネスのため。
でも、彼へとさまよう心は止められない。イタリアの二大ファッションブランドの合併を強固にするため、
オリヴィアは相手企業の御曹司カルロとの結婚を受け入れた。
だが、結婚式直前、カルロが別の女性と駆け落ちしてしまった。
それを伝えに来たのはカルロの兄、アレッサンドロだ。
ブランドを率いる冷徹な経営者で知られる彼は無造作に告げた。
「式は予定どおり挙げる。ただし、花婿はカルロではなく僕だ」
オリヴィアは静かにうなずいた――本当はひそかに
アレッサンドロに惹かれていたから、恋心を悟られないように。
彼にならって愛のない結婚に殉じよう――そう心に決めて。