本書で解説する「シェル」とは、LinuxやmacOSなどのUnix系OSの端末アプリで使用されるコマンドラインインターフェースです。具体的には、端末を開くと常駐し、ユーザーが入力したコマンドを解釈し、システムの中心部分であるカーネルに伝え、結果を表示するプログラムです。すべてのコマンドをキーボードから打ち込む必要がある、いわゆる「CUI」(Character User Interface)と呼ばれる種類のユーザーインターフェースです。
シェルにはいくつかの種類がありますが、本書ではLinuxの標準シェルとして広く普及している「Bash」(バッシュ)を基本にしています。
シェルによるコマンドライン操作は、サーバーをリモート管理したり、プログラミング環境を整えたりする際には欠かすことのできない操作です。しかし、マウスやメニューによる操作などは行えないので、最近のGUI(Graphical User Interface)に慣れている方の中には拒否反応を示す方も少なくないでしょう。
本書は、そのようなコマンドライン操作が苦手な方々のために、Bashを使用したコマンドライン操作をゼロからわかりやすく解説しています。まずは入門編としてコマンドの入力方法と、基本的なオプションの使い方、シェルの便利機能について説明します。そのあとは、標準入出力を活用したパイプやリダイレクションといった複数のコマンドを組み合わせて、より複雑な処理を行うテクニックや、シェルを使用したシェルスクリプトと呼ばれるプログラミングの基本まで、段階的に解説していきます。
実用的なサンプルも多く用意していますので、実際に操作しながら学んでいくことで、コマンドラインを日常的に使いこなせるようになるでしょう。
なお、本書は「シェルスクリプトマガジン」(USP研究所)に、2021年から約2年間に渡り連載された記事を元に加筆・訂正したものです。書籍化するにあたっては、Linuxディストリビューション「Ubuntu 24.04 LTS」で検証しています。