2019年4月の入管法改正、同年6月の日本語教育推進法を受け、日本語教育の枠組みはダイナミックに変容しつつある。外国人にどのように日本語を教えるのか、といった「教え方」の問題から、どのような社会を目指して日本語教育を実践するのか、社会構想としての日本語教育の実践と研究が必要とされている。
そもそも人に「ことばを教える」とはどういうことなのか、「ことばの教育は何を目指すか」、つまり「ことばの教育」の実践を通して、私たちはどのような人間の在り方、またどのような社会の在り方を目指しているのか、という根本的な問題について、言語教育、言語政策、人権/共生論、シティズンシップ教育等、それぞれの立場から考察し、「共生社会」実現のための「ことばの教育」の理論的視座を提示する。