彼はいつも、一着の袍を身にまとっていた。
死んだ女が、かつて自ら縫ったものだという。
破れては継ぎ、継いではまた破れ、
それでもなお繕い続け、百年ものあいだ着続けている。
彼のそばには、いつも一匹の猫がいた。
だがその猫は、どこか異様だった。
猫に見える、としか言いようがない。
――三千年も生きる猫など、いるはずがないのだから。
彼は多くの人間を殺してきた。
数など、もはや誰にもわからない。
ただ手を一振りするだけで、
人の頭は、石に叩きつけられた西瓜のように砕け散った。
彼の手にかかった日本兵は多い。
だが――それ以上に多くの中国人が、彼の手で死んだ。
人は彼を悪魔と呼ぶ。
だが、私は――そうとも言い切れないと思っている。
※本作は墨野 恒一の個人誌作品の電子書籍版となります。