作者様買いです。朝田先生の作品はBLのカテゴリーを越えた、ヒューマンドラマだとつくづく思います。深くて、考えさせられる事が多いんですよね。
惚れた腫れたラブラブなお話だとか、エロを求めて読まれるには遠いかなと思います。
投資に失敗し
て借金したり、惚れた女に貢いで騙されて人生に絶望したケイ。自らの命を絶とうとしたところ、間一髪救われて連れて行かれた場所は…
ゲイ専門の風俗店を舞台にした、従業員達の生き様が描かれています。
辛くて苦しくて生きる事に疲れたとしても、『生きていればどうとでもなる』その言葉は勇気を与えてくれる。一度死んだ身と考えたら、何でも出きるんじゃないかと思える。落ちるとこまで落ちて、底辺見たらあとは這い上がるだけ…絶望を味わった人間は、這い上がれば強いと思うんです。強いと思いたい。
畑違いな場所に身を置いて働くケイも、強くなれた気がします。お人好しで優しいところはケイの財産かもしれませんね。
それぞれ何かを背負ってるリンもジョーも、生き抜く術をサーカスで身につけた。ある意味、救済の場所かもしれません。そこに骨を埋めるでなく、飛び立つまでの孤独な居場所。
そこに固執してしまっているシロが、一番の闇を抱えていて、その心の傷が根深くて辛いですね。ケイはシロに救われて、シロの心を救うのはケイしかいないんだと思うんです。愛を求めて、あえて突き放したシロが切なくて、再会した時のシロに胸を痛めたけど、生きていればどうとでもなるとスッキリした顔のシロが清々しくて泣けてしまった。
前を向いて進む彼等に、感動です。
とても素晴らしい作品に出会えて良かったです。
もっとみる▼