私が知らないだけで福島や核廃棄物をテーマに音楽や作品を発表したクリエイターはいるんだと思います。それでもこの萩尾望都という作家の発想は唯一無二なんじゃないでしょうか。表題作「なのはな」は福島とチェルノブイリを重ねてそこにいる人々の失った暮ら
しを、家族を思い、小さな希望を示している。今、チェルノブイリのあるウクライナの現状を萩尾先生はとても胸を痛めていることでしょう。「プルート夫人」「雨の夜ーウラノス伯爵」「サロメ20××」3作ともプルトニウム、ウランを擬人化し人間が魅了され振り回される様子を見事に描いている。「幻想・銀河鉄道の夜」「なのはな」の主人公ナホちゃんが大好きなばあちゃんと本当にお別れする夢のお話。宮沢賢治の作品にからめて胸がいっぱいになるシーンがあります。「福島ドライブ」はごく普通の暮らし、人生があっという間に波にのまれる表現が衝撃的です。私は書籍で持っているのですが電子で読む場合は見開きで読むことをお勧めします。
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