文庫版の「ヨウスケの奇妙な世界」シリーズで読んだ夢幻紳士シリーズが世界一好きな漫画で、あれらの物語の中だけで完成されている世界、夢幻外伝篇の最終話で世界が完結する(円環を閉じつつも永遠に続くことを感じさせる)のが自分の中で完璧すぎて、そのイ
メージを崩すのが嫌で、続編にあたるこちらには、なかなか手を出す気にはなれませんでした。
が、これはこれで、それまでの作品で確立された夢幻魔実也というキャラクターが読者に向かってお芝居を見せてくれているような印象だったので、これまでの世界観に付け足されるというより、並行している感じですんなり受け入れられました。
トラウマの原因になった出来事を、何度でも殺して、恐ろしいモンスターを笑いものにしてみせてくれるって、最高に優しいダークファンタジーだなと思います。物語が進むにしたがって無敵の超人になっていった主人公が成し遂げたことが、世界を破滅から救うとかではなく、一人の女性の精神を救うことだったっていうのが本当に好きです。残虐な描写の多い、ダークな世界観なのに、何か癒されるというか、根底に優しさみたいなものが感じられるのは、この主人公の造形の妙だなぁと思います。
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