まず最初に、レビューを書いている時点で映画の方は未聴である点を記しておく。
ファーストガンダムのエピソードの中でも色んな意味で知名度が高い、ククルスドアンという人物の名を冠した作品。とはいえ彼の視点で話が進むのではなく、彼と一緒の部隊であ
ったメンバーが話の中心になっており、一年戦争の状況の変化や周りから見た外側の視点から徐々にククルスドアンという人物が明らかになっていくという手法が取られている。オリジンの安彦先生の原作だけあり、時代背景や軍の細かい設定、魅力的な登場人物とそれらの心理描写の変遷含めて文句の付けようが無く、前述の手法もあり読んでいくうちに深くハマってしまう。さすがの手腕である。
特に恐れ入ったのが度々出てくる謎のガンダムの描写。ザクの攻撃を軽々と避け、まれに当たってもダメージがほとんどなく、圧倒的火力で何機ものザクをまとめて焼き払うという描写はまさに「悪魔」である。さらに本作品の表現として連邦軍側の人物は「一切」登場せず、このガンダムのパイロット(アムロではない)も最後まで一切明かされない。ジオン軍のパイロットにしてみればそれが当たり前であるが、作品でこれをやられると悪魔感が圧倒的に増す。この手法も非常に評価したい。久々に圧倒的なレベルのガンダム作品に出会えて大変満足した。
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