実はタイトルが私にはいいイメージに結び付かなかった。
そのため、偶然シーモア島で、宝塚歌劇団の「かげき」とわかるまで、過激の「かげき」だとばかり思って、表紙絵からも内容に通じるものを少しも読み取ってなかった。
「吉祥寺少年歌劇」(町田粥
先生)がここ最近読んだ中でも指折りの良さだったので、白鳥の水面下の足かきの如くの彼らの汗に丁度関心が向いていて、そこまでではきっとないと、かわいそうだが越えられまいとの、今は先入観だったと想い知るような気持ちで当初読み始めたら、あっという間にひっくり返された。
私は今は、西の「かげきしょうじょ!!」、東の「吉祥寺少年歌劇」と位置付けてしまった。
漫画として、漫画そのものの表現が、目にインパクトあるドラマチックさを見せるコマの中に広がっているのに、各人の設定も「え?」と感じる大胆さで割と凝っているのに、不自然な作り事めいたご都合で展開せずに、鮮やかに彼女らの明日を見守らせてもらう描写なのだから、攻めた作品と思う。絵はその辺のよくある学園ドラマと変わらずに、取材?に基づいたかもしれない意外性あるエピの中のディテイルのマニアックこだわりで引きずり込まれる。音楽学校の特殊な環境と、年頃の少女の感情が、説得力で読ませる。
毎日無料連載でここシーズン0の後の本編にまで読み進めて、もうやめられない。こんなに入り込めるとは思っていなかった。
宝塚ファンには常識なのかもしれないが、5回前後しか観劇していない私には、興味をそそられる、従来読んだことのなかった新しい切り口の、スター誕生物語がすごく新鮮だ。
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