双子の片割れはこれ迄には沢山の共有や共感があっただろうから、この結末はせめてひたすらに相手の幸福を願う、ということになるのだろう。事実、踏み込めないがでも受け入れがたい、忽然と姿を消したヒロインセアラの事件の顛末を察したとき、残されたカレン
は、セアラの微笑みを見て、彼女が幸せならばと、その場をあとにした。双子の妹カレンが昔のように心の声を耳にできたなら聞こえるであろうセアラの心の声は、40年(!)ずっと幸せだったのよ、とでも言いたいように見えた。それは、セアラの穏やかな、或る日常の光景を確かめることができて目で見たことから全て悟ったのだった。
幸せとは?一生を一緒にいたい人とは?代わりなどいない人とは?
どうしても相手に幸せになって欲しいと願う二人の心が切なかったが、HQなので二人がお話の世界でしっかり幸せになってくれたことを見届けることが出来て、嬉しく思った。双子の片割れの夫婦には、その二人が40年も幸せに過ごし続けた時間を実感しないから、あっという驚きと、俄に信じがたい気持ちとで余裕なく目撃してしまったかもしれない。
実は以前光崎圭の作品はお見かけしていたのだが、近年HQではリアルコミック版で立ち読みで済ませ深入りして来なかった。今は後悔している。
この作品の雰囲気と先生の絵柄は、見事に時空を行き交う恋人の儚い逢瀬をきゅーっと表してると思う。
薄っぺらに出来上がった恋人同士ではない、真剣な二人のこれからどうしたらよいのかを頭を抱えて模索検討する姿が嘘に見えないのだ。
1、2とあることで、何回もの時間の旅を挟む周囲の出来事へ展開を膨らませられたので読者が置いてけぼりにならず、分量が適切だったと思う。
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