ほわんとした可愛らしいタッチの絵柄なので騙されそうになりますが、「顔のない者に仕える生き人形」が主人公です。これだけでも少し不気味ではありませんか?
なかなか心を開いてくれず、顔もないので表情から気持ちを察することもできないご主人様、ケイ
トに懸命に尽くす主人公、エミリコ。
二人の関係はお話が進んでいくにつれて少しずつ変化していきます。話のテンポも良く、出てくる登場人物たちもとてもユニークで、飽きません。
なぜご主人様に顔がないのか、なぜすぐに煤に汚れるのか、なぜこの館には客が来ないのか、なぜエミリコはケイトに仕えることになったのか。お話を読み進めていくごとに深まる謎は謎をよび、張り巡らされて絡めとられるのではないかと思うくらいの伏線は、気持ちの良いくらいにすっきりと回収してくれます。
いつでも元気いっぱいなエミリコと、気品に満ちた淑女のケイトの摩訶不思議な日常をのぞいてみませんか。
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