表紙絵の美しい白蝙蝠に惹かれて購入しました。サバイバルホラーBLと説明がありますがBL度は薄めでオカルトにミステリーを足した洋画のようなお話でした。
吸精鬼のナルコは人間を食すのでグロテスクな描写はありますが、その姿は美しく、共に生活して
いる話すことが出来ない人間・マヌエルに対し、感情の名前はわからずとも情が存在し、大切にしている事を感じます。
カルト集団に標的とされ、何故追われるのか、何故ナルコがマヌエルをそばに置いているのか、という様々な謎が紐解かれていき、一番恐ろしいのは人間かもしれない、と醜悪さにゾッとしながらも、ラストまで目が離せない展開でした。
1冊にまとめるには少し消化不良も感じますが、それを差し引いても、独特の世界観がしっかりと確立していてラストも表紙絵へと還っていくホラーらしい締め括りで読み応えがありました。ナルコは人を殺めもしますが、救おうともする、善悪併せ持つ上でのその心の清らかさが魅力であり救いかなと思います。臓器や凄惨、無理やりな描写も出てくるので苦手な方は注意が必要です。
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