現代を生きる様々な人々をそのまま主人公にしたような群像劇です。登場人物は皆それぞれ立場も考え方も違いますが、読めば自然とどの人物にも共感して応援してしまいます。
私が特にいいと思ったのは、主人公が軸となって問題解決をしないことです。人
間関係の問題を解決する作品の多くは一人の主人公を軸として物語を進めていきます。ですがこの作品は、スポットのあたった人物が、自分の向き合うべき人と向き合うことで物語が進んでいきます。そこには主人公の力は必要なくて、主人公も自分の物語とただ向き合っています。現実では当たり前の事のようですが、作品に落とし込むのは難しいはずです。漫画で違和感なくそれを表現していることが本当に素晴らしいと思いました。
主人公を一人決めて問題解決役にすればわかりやすいし話も作りやすいかもしれません。でもこの作品はそれをしていない。それぞれの物語で主人公が違い、問題解決する方法もゴールも違う。そのうえで登場人物に感情移入させて、作品全体もきれいにまとまっている。この作品は、とても読みやすくて共感しやすいストレートな作品です。そのうえでとんでもなく高度な描き方をしている斬新な作品だと思います。
作者様へ 気づけば全巻一気読みしてました。最高に面白かったです。現在57話 続きも楽しみです。描いてくれてありがとうございます。応援しております。
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