物語は時代感覚が鈍るような官能的な関係に、オタ活に邁進する丈が入り込むことで一気に今っぽくなる。要らん設定にも思えるけど、冬真を閉じ込めていたと感じていた海堂は、実は自分自身を閉じ込めていたと気づくのは丈のおかげだと思った。90年代とかが舞
台ならもっと愛憎にまみれてたかもね。丈のオタク考からも人間の持つ感情は様々なんだと教えられるし、海堂自身の視野がひろがるのがオモロイ。おまけページの海堂はギャグ感ありつつ微笑ましかった。商店でのばあさんたちの色眼鏡への対応は、王道なら怒鳴りつけるところを丈はにこやかに場を収める。そういう部分も人柄なんだろう。こういう三角関係は心の臓が締め付けられるような切なさで苦しいんだけど、とても爽やかな読後感は海堂自身にも感情移入出来て、海堂も一緒に解放されたからかな。海堂を不幸に思う方が失礼だと思う。
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