推しに対する愛と恋愛感情は互いに近くて似てる。熱くて強くて重くて激しくて。
一成は宝を見出してメディア露出を企む。独占欲もありながら、その宝をもっとたくさんの人に知らしめたい、との一心もあって。
この一成のキャラ、暴走ぶりに楽しく笑
えるが、心境自体は、好きな対象を持ったことがある誰かしらの心境にも通じるものがあって、笑いながら読み手の感傷を古傷のように何処か突いてくる。
彼が居なくてはこのストーリー成り立たず、ダブルヒロイン(?)的な構造が最後まで一貫していて、本当に彼のひとりよがりに走る滑稽さと、全体のイヤミ無い明るさとがバッチリ効いていて、ほのぼのさまで付いてきて、かつ手頃な長さ、愉快なひとときを愉しませてもらった。
もちろん、純朴と天然の微妙なバランス、野心家とほど遠いけがれのなさや疑り深さの無い人なつこさなど、そういう設定が大いに活かされ、美少年を取りまく周囲という描写が良かった。
一成の兄の使われ方が、前半は盛り上げたのに後半はおとなしかった。狭い人間関係で終わるのではなく、成長する彼等に付随して広がる人間関係の必要性は理解するものの、反面新キャラとの絡みは多少地味だったとも感じる。
故郷に凱旋の所は、田舎感をギャップとして表したかったかもしれないが、第1巻で出してあった感じではない面も別途期待したら欲張りか。
女性アイドルの使い方が皮肉が効いていて、小さい場面なのにヒロノブというキャラの立ち位置を印象づけていて、いい。
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