霊、人間、異形、怪奇現象、グロテスク…
「ホラー」とひとくちに言っても、そこには様々なジャンルや怖さがあるわけですが、この漫画の内容はその中のどれか一つに偏っているのではなく、むしろ一話完結形式で満遍なくどのジャンルにも触れ、一つ一つ
の話を見せてくれます。
幽霊の仕業だったり、殺人事件だったり、時には唐突に現れた謎の存在に翻弄されたり…。
本当に様々な「恐怖」が話ごとに描かれていて、そのバリエーションの豊富さに読み飽きることはありません。
口裂け女やてけてけなど、有名な怪談に出てくる人物の話もありますが、それも独自のストーリーのキャラとして登場させているのでどの話も新鮮で面白いです。
更には、終わり方がハッキリしている回もあれば、その後がどうなったか分からないような回、それどころか一部始終が意味不明な回…と、ラストも一つや二つではなく予想を裏切ってくるようなものも沢山あるのがある意味恐怖ですね笑
『え!?どういう事!?』となったラストの回では、読み返してみるとものすごく上手に伏線をあちこちに張っていて、そこに気づいた時には思わず『え、スゴイ!!』と声にしつつ、作者様の伏線の張り方と回収の仕方の巧みさにゾッとしてしまったくらいです。
そしてこの漫画の「全ての話が恐怖で締めくくられるわけではない」という点が、私の中では特に評価したい部分です。
たまに、結末が「怖い」のではなく「悲しい・寂しい・切ない」といった感情にさせるような回がいくつか存在するのです。
その「確かに一部分は怖いけれど、終わりには怖いよりも悲しいや寂しいといった感覚が刺激されるような話」の存在が、漫画全体のメリハリというのでしょうか…、緩急をつけて作品の印象をより深くしているように感じます。
一話完結形式で怖い話の連続…なのではなく、このような恐怖以外の感情にさせる話が出てくるのは想定外でした。
グロテスクな表現が含まれる回もありますが、目も当てられないような残酷表現とまではいかないので、多少の流血表現なら大丈夫という方でしたら問題なく読めるのではないかと思います。
作者様の画力は勿論のこと、漫画全体の構成力や表現力、バリエーション、キャラクターデザインや設定など、全てが脱帽級の素晴らしい作品ですので、気になる方は是非読むことをオススメします。
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