マキネ先生のオムニバス、幕開けの章ですね。マキネ先生は常に、登場人物の生育過程、つまり親から受けた愛の影響をテーマに物語を紡いでいるように感じています。そしてその掘り下げ方は、画一的になることはなく、柔らかく繊細で、答えがその人物人物によっ
て異なり、時に歪でもあるのに、どの答えも必然で正確で、生とはそういうものなのかもしれないと思わされることが多々あります。ですが今回の作品については、この正確な掘り下げが深く細かく完璧とは感じられませんでした。正確には先生の中ではしっかりと掘り下げが出来ているのに、敢えて描き込まれなかったように感じるのです。これは何故なのか。学園もののオムニバスの第一章としてバランスを考え、押さえ込まれたものなのか。それともあくまで序章として今後広がっていく世界へのステップとしての制限なのか。いずれにしろ考えられた上の今回のお話ですから、今後の物語達が作り出す完成図が楽しみです。また登場人物の仕草や表情、瞳、佇まいー、1つのカットが言葉以上に読み手を魅力し、感情を伝えてくるのはやはりマキネ先生ならではと思いました。救済をしていた登場人物が、結果救済をされていく。人の立ち位置がいつの間にかチェンジをする。人はそうして繋がっていく。そんな物語でした。
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