「この結婚は、“血を残す”ためのもの――。その目的が果たされれば離縁してもらう」そう言い放ったのは、彼女がずっと想いを寄せていた相手だった。伯爵令嬢エステル・エグザンティーヌは、幼い頃から公爵家の跡取り・ロラン・ボーキューズに淡い恋心を抱いていた。だがこの国では、17歳になると血液検査によって「相性適合」が通知され、制度に従って結婚を進めなければならなかった。「ロラン様への想いがなくなれば…」葛藤に苦しむエステルの元に届いたのは、ロランとの相性適合通知。舞い上がるエステルだったが、対面したロランから告げられたのは、離縁前提の結婚だった――。