【1話 国を揺るがす女】
「負け犬側妃」それが、ネレイスに与えられた称号だった。
王太子に婚約破棄をされ、王宮の嘲笑の的となった。
正妃ではなく側妃として執務をこなす事、手柄を全て王となった王太子に差し出すことを要求される。
それは彼女の母が平民で、貴族の血を半分しか引いていない故だった。
年に一度、両国の王が一品を賭ける華やかな夜、
隣国グランヌス帝国の王クヴァルに「賞品」として連れ去られ、後宮へ迎え入れられる。
帝王は何を望み、ネレイスは何を守るのか──愛か、矜持か、取引か。
誰も口にしない本音が、次の一手を決めていく。
賞品扱いされた「負け犬側妃」が、冷血帝王に溺愛されるまでのお話。